フランス語の独学を始めて、きょうで丸2年が経ちました。
(1) この2年を振り返る
@ 5ヶ月間にわたる熱狂の日々
ちょうど2年前のきょう、2004年2月6日に、わたしはフランス語の独学を開始しました。
7泊8日のパリ旅行から帰国して、3日後のことです。
いつも通っている図書館の大きな机に「新リュミエール」を広げ、まっさらな白いノートの第1ページ目に、日付を書き込んで、さあ、きょうからフランス語を始めるぞ、と胸を高鳴らせた、あの日のことが、なつかしく思い出されます。
もちろん、前年の秋ごろから、2月のパリ旅行に向けて、「Talk now!」やら何やら、ずいぶんと教材を買い込んで、すでに、発音や数字の習得に、いそしんではいました。
しかし、いざ記念日はいつか、と問われれば、やはり、「新リュミエール」で本格的にフランス語の文法を学び始めた、2月6日なのです。
そして、その2月6日から、6月20日の仏検4級・3級までの5ヶ月間は、まさに熱狂という言葉がぴったりの、フランス語漬けの毎日でした。
![]() | The Ultimate French Review and Practice |
A 1年間のブランク
短距離走のごとく走り抜けた5ヶ月間でしたが、それまでの無理がたたったのか、あるいは、もともとの、熱しやすく冷めやすい性分のせいか、6月の仏検を境に、がくんと失速しはじめました。
本人としては、やる気にいささかの変わりもなく、こつこつとフランス語の独学を継続しているつもりだったのですが、ふと気がつくと、「仏検 準1級・2級必須単語集」の例文暗記以外、学習らしい学習は、何一つしていなかったのです。
仏検3級・4級受験後に学習した内容が、2級の部のたった20例文の暗記だったと、気がついたときは、さすがに、がく然とした記憶があります。
うかうかしているうちに、いつのまにか、例文暗記だけで、6月の仏検から、なんと1年が経過しようとしていたのです。
翌2005年5月のことでした。
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B 仏検2級に向け学習再開
仏検受験後の1年のブランクを破ったのは、実は、2005年4月にスタートさせた、この「30からのフランス語」が、きっかけでした。
それが引き金となって、再びフランス語をやろうという気持ちが高まってきたのです。
そいうはいっても、まだしばらくずるずると流されてしまい、結局、「完全予想仏検2級」を始めたのは、7月30日になってからでした。
11月20日の仏検まで、残り4ヶ月を切っていました。
しかし、長いこと、まともな学習から遠ざかっていたせいで、机に向かって学習する習慣がなかなか取りもどせず、「新リュミエール」で学んだはずの文法もいったいどこへやら、ただただ、気持ちばかりが焦る、空回りの日々でした。
そして、とうとう「完全予想」を数回まわしただけで、予定していた模擬試験も、せっかく購入した「過去問
![]() | Asterixのフランス語レッスン Disk1 インフィニシス 1999-02-09 漫画「Asterix and Son」の物語で学ぶ、中級者向けフランス語学習ソフト |
C 現在の心境
結局、仏検2級は不合格になります。
そして、現在は、次の6月の仏検に向けて、自分の学習姿勢を見直しつつ、足場を固めているところです。
それにしても、こうして、ここまで2年にわたり、細々とフランス語の独学を続けてきたわたしが、いま最も強く感じることは、「続けることの難しさ」です。
それは、2級の学習が思うように進まず思い悩んでいたころ、たまたま本屋で手にしたNHKテキストの中で出会った、國枝孝弘さんの言葉の中にもありました。
「フランス語を学習していくうえで、いちばん難しいのは、学び続けることである」
当時も、本当にそうだよなあと、いたく共鳴して、あの國枝さんのような方でも、そうだったのだ、と非常になぐさめられもしました。
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(2) 続けることの難しさ
@ 続かなかった外国語
わたしは、学生時代だけでも、ドイツ語、ロシア語、中国語と、3つの外国語に手をだし、ことごとく挫折した経験をもっています。
ドイツ語は、第二外国語でした。
やはりフランス語同様、かなりのめり込み、独英辞典まで購入して、最初の前期試験で、100点をとって、喜んだ記憶があります。
しかし、2年生に上がるころには、授業に遅刻・欠席が多くなりました。
ロシア語は、夏休みに、当時のソ連に旅行してみようと、参考書を買い込み、文字をようやく覚えたころ、革命が起き、旅行を断念したところで、いつのまにか熱が冷めていました。
その後、行き先を変え、1ヶ月にわたり旅行した中国で、留学生に教わった片言の中国語が、おもしろいほど通じたことに刺激を受け、帰国後、こりずに中国語の学習を始めました。
今度は、大学の公開講座にまで参加して、中国人の先生から、四声をみっちり仕込んでもらいました。
しかし、それも、やがて基礎文法に入り、内容がだんだん難しくなってきたころ、いつのまにか、疎遠になっていました。
![]() | パリよ、こんにちは 林 真理子 椎名 誠 唯川 恵 角川書店 2005-12-21 6人の作家によるパリを舞台にした珠玉の短編集 |
A なぜ続かないのか?
経済学に「限界生産力逓減の法則」というのがあります。
人手の足りない工場に、働き手を1人入れると、能率はぐんと向上するが、その後は、1人、2人と増やしていくにつれ、その向上する度合いは、しだいに低下していく、という法則です。
外国語も、同じです。
学び始めのうちは、努力の成果がすぐに現れるので、その喜びが学習の原動力になります。
わたしの場合も、ほんの数ヶ月かじっただけでも、街のいたるところにあふれているフランス語の存在に気づいたり、テレビから流れるフランス語がひとつふたつ拾えるようになったり、ためしに手にしたアルベールカミュの「L'etranger」の冒頭の1文が読めてしまったり、と世界が急に広がったような大きな喜びに包まれました。
しかし、しだいに先ほどの法則が働き始め、成長のカーブがゆるやかになるとともに、努力の成果が体感しづらくなります。
ここに、外国語を続ける難しさがあるのだと、過去の経験から、わたしは感じています。
なんて、本当は、たんに飽きやすいだけなのです。
![]() | パリの女は産んでいる―“恋愛大国フランス”に子供が増えた理由 中島 さおり ポプラ社 2005-11 雑誌『ふらんす』(白水社)の連載 |
(3) フランス語が2年も続いているのはなぜか?
このように、過去に数々の前科をもつわたしは、フランス語を始めるにあたっても、また同じように、すぐに挫折することを、非常に恐れていました。
ですから、旅行で挨拶くらいはできるようにと、軽い気持ちで購入した「Talk now!」に夢中になったことをきっかけに、どんどんフランス語に傾倒していく自分を、どこか冷ややかな目で見てもいました。
旅行から帰るまでは文法に手を出してはいけない、と自分に禁止したのも、どうせいっときの熱だから、という思いもあったのです。
では、20代に始めた外国語に、ことごとく失敗しているわたしが、なぜ33歳から始めたフランス語は、2年たった今も、続いているのか、これを機会に、考えてみることにしました。
結論は、次の2点です。
![]() | Comment Te Dire Adieu Francoise Hardy Virgin France 試聴可 フランス語の歌詞が聴き取りやすい曲が多い。 |
@ 「習慣化すること」
「新リュミエール」でフランス語をやろうと決めたその日から、わたしが、同じ失敗をくり返さないために、意識的にしてきたことは、「習慣化すること」でした。
わたしは、フランス語の学習を、2つに分類してとらえています。
ひとつは、主に週末を利用する、机に向かって数時間は続ける「集中学習」と、もうひとつは、日々のちょっとした時間を利用した「細切れ学習」です。
わたしのこれまでの経験では、何らかの事情で「集中学習」のリズムが乱れると、知らぬまに、学習をしない期間が長引き、ひいては、それが挫折につながっていたように思います。
そこで、フランス語では、「細切れ学習」を無意識のレベルまで習慣化することで、ごくわずかでもいいから、フランス語とのつながりを維持しつつ、「集中学習」のリズムがもどってくるのをじっと待つ、という戦略をとることにしたのです。
![]() | La Question (Fra) Francoise Hardy Virgin France 試聴可 同じくフランソワーズ・アルディ |
とはいえ、「細切れ学習」の具体的内容は、ほんとうにささいなものです。
外出するときは、必ずリオを聴くというのも、そのひとつです。
他にもいくつかありますが、なかでも、この2年間のうち、1年と11ヶ月は実行したと思われる「細切れ学習」の代表格は、トイレを利用したものです。
わたしは、朝トイレに入ると、まず、目の前にはってあるカレンダーを見ながら、「きょうは、2月6日です。月曜日です。」とフランス語で言います。
次に、横の時計を見ながら、「いま8時45分です。」と同じように、フランス語で言います。
そして、最後に、何も見ないで、いま口にしたフランス語をくり返します。
なお、壁には、「フランス語のABC」や「新リュミエール」からコピーした、月や曜日や時間表現の切り抜きも、確認用に貼ってあります。
![]() | ラ・ムール~フランス・ベスト オムニバス ピエール・バルー&フランシス・レイ ジョー・ダッサン コロムビアミュージックエンタテインメント 2005-06-22 どこかで耳にしたことのあるフランスの歴史的ヒット全22曲 |
ただ、それだけのことです。30秒もかかりません。拍子抜けするほど、ささいな習慣です。
しかし、わたしは、こうした「細切れ学習」を、日常生活のいくつかの場面に、意識しなくても自然に身体が反応するレベルまで、習慣化し、生活に組み込めるよう、さまざまな工夫をしてきました。
背景には、ここで、フランス語にまったく触れない時期を作ってしまったら、またフランス語もだめになってしまう、という危機感がありました。
そして、こうした「細切れ学習」の「習慣化」こそ、2年経ったいまも、フランス語がどうにか続いている最大の理由だと、わたしは考えています。
外から強制力が働かない独学の場合は、とくに、首の皮一枚でもいいから、フランス語とつながっていられる仕組みを、日々の暮らしに内在化させることが、どれほど大切か、過去の失敗から、わたしは十分過ぎるくらい学んでいるのです。
もし、この習慣化が成功していなければ、まちがいなく、5ヶ月にわたる熱狂の日々のあと、1年間のブランクから立ち直ることなく、フランス語とは縁が切れていたでしょう。
それにしても、フランス語の学習を始めるにあたり、わたしが、当初から、自分のやる気をまったく信用していないというのは、なんとも情けない話ではあります。
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A 「仏検を受けること」
フランス語の独学を続ける2つめの方法は、単純明快です。
仏検に申し込んでしまうことです。
わたしも9月1日に仏検2級に申し込んだときは、「あと80日しかない」と考えるのではなく、「80日だけならがんばれる」と考えて、えいやっと、申し込みました。
といって、その時点での実力が、謙遜ではなく、2級からほど遠いものであったことは、当時の自分もよく承知していました。
決して、自分の能力を過信して、申し込みをしたわけではなく、仏検までの80日間のモティベーションをあげるための投資と位置づけて、申し込みをしたのです。
![]() | 絵で覚える フランス語 インフィニシス 2003-11-21 あの「TALK NOW!」の妹分 |
しかし、申し込んでしまえば、こっちのもの。
そうはいっても、落ちるのは、やはり嫌ですから、どうしたって、やります。しかも、効果は絶大です。
実際に、あのとき仏検に申し込んでいなければ、「完全予想」をあんなに回せなかったであろうし、「Cinq Semaines En Ballon」が読めるようにもなっていなかったろうと、しみじみ思います。
そもそも、仏検は、手段であって目的ではありません。
しかも、ときに、合格という餌でわたしを走らせ、ときに、不合格という鞭でわたしの尻を叩いてくれる、何ともありがたい手段です。
仏検は、合否がはっきりでる試験ですから、ともすると、しり込みしがちですが、わたしは、スコアがでるだけの TOEIC と同じだと考えるようにしています。
フランス語の力をつけるためなら、不合格など何のその、今後も、果敢に挑戦していくつもりです。
もちろん、6月18日の2006年度春季仏検にも、参戦します。
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(4) おわりに
独学2周年ということで、文章がすっかり長くなりました。
今後とも、「30からのフランス語」を、どうぞよろしくお願いします。
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■ 「英語のたくらみ、フランス語のたわむれ」












