2006年04月28日

フランス語の学習法
「同時に複数の参考書を利用する」



 ピーター・フランクルは、「ピーター流外国語習得術」のなかで、「1冊だけでなく、何冊か教科書を使って勉強しよう」と、すすめています。

(1) 「ピーター流外国語習得術


  ピーター流外国語習得術


 ピーター・フランクルは、高校3年生の夏、3番目の外国語になるスウェーデン語の勉強を始めるとき、友人から、たまたま4冊の教科書を、ゆずりうけました。

 そのときの経験から、彼は、「教科書は、複数使うべき」という教訓を得たそうです。

 彼によると、教科書というのは、書いている先生が、できるだけたくさんの単語や言い回しをつめこもうとするので、ごく基本的な単語をのぞいて、同じ単語は、2度と出てこない仕組みになっている。

 そのため、ひとつの課が終わって、つぎの課を見ると、いままでこんなにがんばったのに、まるで分からない単語ばかりで、進歩がないと、絶望的な気持ちになりがちである。

 しかし、別の教科書を見ると、その教科書はまだ学んでいないのに、出てくるこの単語も、あの単語も分かる、けっこう勉強したなあ、といい気分になれる。

 いい気分になれると、もっとやる気が出てくる。

 だから、1冊だけでなく、教科書を何冊か使って勉強しよう。

 これが、彼の主張です。


(2) わたしの場合


  


 ところで、わたしも、2年前、「新リュミエール」で、フランス語の文法を、いちから学び始めたとき、実際には、ほかにも、さまざまな本を使いました。

 でも、その理由は、ピーター・フランクルとは、ちょっと違います。

 わたしの場合は、もっと単純です。

 1冊では、いまひとつピンとこなかったので、少しずつ、買い足していくうちに、いつのまにか、参考書が増えていってしまった、というのが実情なのです。

 しかし、いま振り返ってみると、それぞれの本は、それぞれ独自の役割を果たしていました。

 わたしが使った本は、おおざっぱにいうと、次の5つのタイプに分けることができます。

@ 全体像をつかむための薄めの本
A 学習の中心におく基本書
B 情報を整理するための本
C ある分野に特化した本
D 辞書として用いる詳しい本



 @ 全体像をつかむための薄めの本


  


 33歳の秋、ふと、パリを旅行してみようと思い立ち、旅行の準備に、「TALK NOW! はじめてのフランス語」に続いて購入したのが、「フランス語のABC」でした。

 当時は、まさかここまでフランス語にのめり込むとは、思っていませんでしたから、学生時代、第2外国語のドイツ語を勉強するときにも使った「ドイツ語のABC」のフランス語版を、ろくに中身を確かめもせずに、購入したのでした。

 「フランス語のABC」は、情報量が適度にしぼられているので、初めてフランス語に接するわたしでも、全体をさらっと概観するには、ちょうどよい分量の本でした。

 通読するということはせず、ところどころ拾い読みをするという程度の使い方でしたが、旅行から帰って、本格的に「新リュミエール」で文法学習を始めてからも、ちょくちょく参考にしました。

 というのも、「新リュミエール」は、細かい枝葉の部分も省略せずに説明しているので、一読で理解するのは、なかなか困難です。

 そこで、新しい課に入る前に、まず「フランス語のABC」の該当箇所を読んで、幹の部分をつかむようにしました。

 その後に、「新リュミエール」を読むと、枝葉の部分も、わりにスムーズに理解することができたのです。

 いまでは、「フラ語入門、わかりやすいにもホドがある!」や「フランス語が面白いほど身につく本」など、薄くて分かりやすい入門書がたくさん出ています。

 こうした、情報量のしぼられた、やさしくて薄い本がひとつあると、中心となる基本書で文法学習をする際にも、負担を軽減することができると思います。


 A 学習の中心におく基本書


  


 旅行準備のためだけではなく、フランス語の勉強を、もっとちゃんとやってみようかな、と思い始めたとき、まずは、大きな書店に行き、いくつかの入門書を見比べることから、始めました。 

 すると、入門書には、次の3つのタイプがあることが分かりました。

a 文法ではなく、会話が主体になっているもの
b やさしそうだけれど、情報量が少ないもの
c むずかしそうだけれど、情報量が充実しているもの



a 文法ではなく、会話が主体になっているもの


 「フランス語をはじめよう!」や「今すぐ話せるフランス語」などが、このタイプに該当します。

 当初から、フランス語をちゃんとやるなら、遠回りでも、文法からやるべきだと考えていたので、このタイプの入門書は、はじめから除外していました。

 ところで、ピーター・フランクルは、「ピーター流外国語習得術」の中で、日本人の文法偏重を批判しています。

 しかし、それは偏ることに問題があるのであって、文法を勉強しなくていい、ということにはなりません。

 そもそも「新リュミエール」が扱っている程度の文法は、ごく基本的なものです。

 仏検2級に不合格になったあと、もう一度、「新リュミエール」を読んだときに、とくにそう感じました。

 あれ、こんなに簡単だったんだ、というのが、2度目に通読したあとの、率直な感想でした。 

 1度目に読んだときに、細か過ぎて難しいと感じた箇所が、実は、1年後、読んでみると、それは、仏検でも何度も出くわす、非常に基礎的なものだった、ということが、よくありました。

 いずれにせよ、フランス語が話せるようになるためにも、まずは、急がば回れの精神で、文法からしっかり積み上げることが大切だ、というのが、いまも変わらぬ、わたしの考えです。


 b やさしそうだけれど、情報量が少ないもの


  


 「フラ語入門、わかりやすいにもホドがある!」や「フランス語が面白いほど身につく本」などが、このタイプの典型です。

 わたしが、旅行前に購入した「フランス語のABC」も、このタイプに属します。

 このタイプの本は、1冊あると、全体像をつかむのには、たいへん便利です。

 基本書の理解を助け、橋渡しの役目をしてくれます。

 しかし、このタイプの本は、分かりやすくするために、かなり情報をしぼっているので、学習の中心とする基本書には、適しません。


 c むずかしそうだけれど、情報量が充実しているもの


  


 「新リュミエール」が、このタイプの典型です。

 わたしは、当初から、どうせ、ちゃんとフランス語を勉強をするなら、多少、難しくてもいいから、1冊これを回せば、基本は大丈夫、という、それなりに情報量が備わった入門書がいい、と思っていました。 

 そして、本屋で「新リュミエール」を手にとり、まえがきを読んだ瞬間に、直感的に、これだ、と思いました。

 ひとめぼれです。

 この時点ですでに、この本を買うことになるだろうな、と心のどこかで思っていました。

 そのあとも、フランス語コーナーにあったすべての入門書を手にとって、あれでもない、これでもないと、棚から取り出しては、また戻すをくり返し、結局、最後には、第一印象どおり、「新リュミエール」を買うことにしたのでした。

 実は、このタイプの本は、数があまり多くありません。

 わたしは、丸善などにでかけた際には、新しく出版されたフランス語の参考書には、必ず目を通すようにしています。

 しかし、そこで見かけるのは、出る本、出る本、みな、やさしそうだけれど、情報量が少ない、というタイプの本ばかりです。

 こんなに同じタイプの本ばかり出して、本当に売れるのだろうか、と不思議に思うほどです。

 わたしは、本屋でひとめぼれして以来、「新リュミエール」を基本書として、フランス語の文法を学び、3級に合格しました。

 さらに、仏検2級に失敗したあとにも、「新リュミエール」を用いて、文法の総復習をしました。

 その経験から言えることは、「新リュミエール」には、たしかに、ページ構成や、練習問題の質などで、不満に思う点が、多々あります。

 しかし、それでも、「新リュミエール」が、仏検3級はもちろん、仏検2級の受験にも、十分に対応できるだけの内容を備えた、数少ない入門書のひとつであることは、まちがいないと思います。


B 情報を整理するための本


  


 「携帯<万能>フランス語文法」や「プチット・リュミエール」が、このタイプの典型です。

 「フランス語のABC」でかるく全体像をつかんでから、「新リュミエール」で、新しい課をひとつひとつ、つぶしていく、という学習をしていると、途中で、前の課の内容が、ごちゃごちゃになることがありました。 

 そんなときに、頭の中をクリアにしてくれたのが、「携帯<万能>フランス語文法」でした。

 「新リュミエール」の章末の練習問題に挑戦するときには、たいてい「携帯<万能>フランス語文法」を開いて、いったん頭の中を整理してから、やるようにしました。

 なにしろ、「携帯<万能>フランス語文法」は、解説を極限まで省いて、情報を見開き2ページで、一覧できるようにしているので、コンパクトなレジュメのように、とにかく見やすいのです。

 とはいえ、極限まで省いているのは、あくまで解説であって、情報ではありません。

 ですから、薄くて小さいけれど、実は、「携帯<万能>フランス語文法」の中には、「新リュミエール」よりも詳しい情報が、たくさん載っています。

 また、情報の検索性に優れており、調べたい項目に、すぐにたどりつくことができるので、あやふやなところが生じると、わたしは、「新リュミエール」ではなく、「携帯<万能>フランス語文法」を使って、調べました。

 「新リュミエール」を基本書とする文法学習に、「携帯<万能>フランス語文法」を導入することで、わたしの学習効率は、格段にアップしました。

 わたしは、いま「新リュミエール」や「フランス語のABC」を開くことは、めったにありませんが、「携帯<万能>フランス語文法」は、今でも、ひんぱんに利用しています。

 なお、このタイプの本には、「プチット・リュミエール」があります。

 わたしも、どちらを買うか迷いましたが、ちがった観点の説明が得られるという点から、「携帯<万能>フランス語文法」を選びました。

 「携帯<万能>フランス語文法」は、解説が極限まで絞られているので、文法をいちから学習する際の基本書には不向きですが、情報を整理するための本としては、一押しです。


 C ある分野に特化した本


  


 「暗記本位 仏検対応5・4・3級フランス語動詞活用表」や「初学者も専門家も新・冠詞抜きでフランス語はわからない」などが、このタイプの典型です。

 ある分野を集中的に勉強するときに、このタイプの本があると、たいへん便利です。

 わたしの場合、動詞活用を勉強するさいには、いったん「新リュミエール」の学習から離れて、動詞活用に特化した「暗記本位」で集中的に学びました。

 「新リュミエール」から離れていた期間は、1週間から2週間くらいだったと思います。

 そのあいだに、「暗記本位」に載っている51個の動詞について、直接法現在の活用を中心に、ルーズリーフに何度も書いたり、添付CDで、51個の動詞活用をくり返し聞いたりして、動詞活用の基本を身につけました。

 巻末についている、級別に分かれた練習問題も、理解の確認に役立ちました。

 もちろん、内容的には、動詞活用であっても、「新リュミエール」だけで、十分なのですが、「暗記本位」があったおかげで、より短期間で、動詞活用の壁を、乗り越えることができたと思います。


 D 辞書として用いる詳しい本


  現代フランス広文典


 「新リュミエール」がいくら詳しいといっても、それは、ほかの入門書と比べると、詳しい方だ、というだけのことで、学習の過程で生ずるすべての疑問に答えてくれるものでは、決してありません。

 そんなとき、「現代フランス広文典」のような、詳しい文法書があると、それらの疑問をさっと調べることが出来て、たいへん便利です。

 とはいいながら、実は、わたしは、欲しい欲しい、あったらぜったい便利だと、ずっと思いつつも、不勉強なことに、まだ持っていません。

 本当は、文法にどっぷり浸っていた学習の初期にこそ、「新リュミエール」や「ケータイ」では解決できない疑問点を調べるために、「現代フランス広文典」のような分厚い文法書を用意しておくべきでした。

 貴重な学習機会を逃し、惜しいことをしたと思っています。

 わたしも、英語は、高校生のときに「ロイヤル英文法」のような分厚い文法書を通読したものですけれど、いまのわたしには、もはや、その体力も気力も残されていません。

 きっと、仏文やフランス語学科の人たちにとっては、「現代フランス広文典」が、基本書・入門書に相当するのでしょうね。 


(3) 同時に複数の参考書を利用する


  ピーター流外国語習得術


 わたしは、「新リュミエール」を使って、6週間で、フランス語文法の基礎を、ひと通り学びました。

 その効果は、絶大で、その後に解いた仏検問題集も、4級くらいまでなら、解いていて、楽しい、と感じるほど、力がついていました。

 しかし、「新リュミエール」のすべての課を読み、理解し、章末の練習問題を終わらせるには、上で見たように、複数の参考書を、行ったり来たりする必要がありました。

 もちろん、内容的には、「新リュミエール」1冊だけで、なんの問題もないのですが、しかし、複数の参考書の協力がなければ、「新リュミエール」を、6週間で終わらせることはできなかったと思います。

 そんなわけで、「ピーター流外国語習得術」を読んで、ピーター・フランクルが、「1冊だけでなく、何冊か教科書を使って勉強しよう」とすすめている記述を読んだとき、あ、自分と同じだと、ちょっとうれしく思いました。

 ただ、わたしの場合は、1冊では理解できなかったというのが理由でしたので、彼がすすめる理由とは、ちょっと違いましたが。

 ところで、わたしが複数の参考書を使う、もうひとつの理由は、参考書好き、というわたしの性質が大きく関係していると思います。

 とにかく、いい参考書を見ると、まだ実力がともなっていなくても、すぐに欲しくなってしまうのです。

 おかげで、わたしの本棚は、ちょっとした本屋さんなみの、きらびやかな品揃えです。

 しかも、その半数は、買った当時の美しい状態のまま、見事に保存されているのです・・・。



■ フランス語の多読教材




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