2006年11月06日

 「トライリンガル」体験記(3)



 「トライリンガル」は、聞き続けて2週間もすると、進歩がとまるのを感じたり、無駄が多いと感じたり、いろいろな問題が見えてきます。


(1) 「トライリンガル」好調なすべり出し


 「トライリンガルスピードラーニングのフランス語版「トライリンガル」(エスプリライン)」スタート初日は、声の種類の多さにパニックにおちいったり、英語は聞き取れるのにフランス語がぜんぜん聞き取れずショックを受けたり、と大忙しでした。

 しかし、1週間もすれば、声の種類の多さは気にならなくなりますし、初日に限りなく0%だったフランス語の聞き取り率も、少しずつ、向上していくのが実感できます。

 1度目に聞いた時は、チンプンカンプンだったフランス語が、その後に続く英語や日本語によって内容を把握した後に、もう一度、聞いてみると、構文や単語が予想できるので、どんどん聞き取りやすくなっていくのです。

 それは、ちょうど、仏検の聞き取り試験で、1回目は、うっすらとしか聞き取れなかった例文が、話のあらすじがつかめた2回目、3回目になると、細部も聞き取れるようになる、というあの感覚と似ています。

 わたしは、主に、行き帰りの電車の中で「トライリンガル」を聞いていたのですが、毎日少しずつ、拾える単語の量が増えていくのが、とてもうれしかったのを、覚えています。

 このまま、NHKラジオフランス語講座と「トライリンガル」の2本立てを継続していけば、苦手なフランス語の「聞き取り」も克服できるに違いない、とわたしは、ひとりほくそ笑んでいたのです。


スピードラーニングのフランス語版「トライリンガル」(エスプリライン)



(2) 「トライリンガル」1つめの壁


 開始2週間ほどで、わたしは、すでに1巻目の「あいさつと紹介」(17分)、「朝食で」(5分)、「お見舞い」(7分)の3つ分のスキットを聞き終えていました。

 ところが、そのころになると、わたしは、自分が2つの壁にぶち当たっているのを、ひしひしと感じるようになりました。

 1つは、ある地点で、ピタリと進歩が止まってしまう、という壁でした。

 どういうことかと言うと、たしかに、くり返すたびに、フランス語の聞き取り率はぐんぐん上昇していくのですが、しかし、ある地点を過ぎると、それ以上、いくらくり返しても、もう進歩が望めない、という状態が必ずやってくるのです。

 それは、英語の聞き取りについても、同じでした。

 そして、その状態まで来ると、わたしは、テキストを開いて、その箇所を調べたいという欲求にかられました。

 分からない箇所をそのままにしておくのが、気持ち悪くて仕方なかったのです。

 しかし、わたしは、4巻すべてに耳を通すまでは、さしあたって、テキストを開かないでおこう、と決めました。

 というのは、そもそも、フランス語を耳にする絶対量を増やしたい、というのが、「トライリンガル」を始めた動機でした。

 ですから、もし「多読」、「精読」という言葉に対応する「多聴」、「精聴」という言葉があるとしたら、わたしが、トライリンガルに求めているのは、「多聴」です。

 それなら、洋書を「多読」をするときいちいち辞書を引かないように、わたしは、トライリンガルを「多聴」するときも、テキストを開かないでいようと思ったのです。

 それに、ラジオ講座にせよ、トライリンガルにせよ、テキストや辞書を使って勉強色を強めると、おそらく、自分の性格上、長続きしないだろう、という読みもありました。

 聞き流すだけでいい、という「トライリンガル」のせっかくの特色を生かした方がよいだろう、と思い直したのです。


スピードラーニングのフランス語版「トライリンガル」(エスプリライン)



(3) 「トライリンガル」2つめの壁


  このように、「トライリンガルスピードラーニングのフランス語版「トライリンガル」(エスプリライン)」開始2週間目でぶつかった、ある地点で進歩が止まってしまう、という1つ目の壁に対しては、そのまま放置して先に進む、という方法でやり過ごすことにしたのでした。

 そして、いったん「テキストは開かない、分からないところは分からないままでいい」と決めてしまうと、とても気が楽になりました。

 肩の力が抜けて、トライリンガルを聞き続けることに、あまりストレスを感じなくなったのです。

 ところが、そのころ同時に、新たな問題にも直面していました。

 それは、トライリンガルには無駄が多い、というより本質的な問題でした。

 たとえば、トライリンガルをくり返し聞いていると、途中から、日本語はもういらないよ、と思うようになります。

 さらに、くり返して英語の聞き取り率が9割を超えてくると、もう英語もいらないよ、フランス語だけを聞かせてよ、と思うようになってくるのです。

 そうなると、英語と日本語が再生されているあいだじゅう、わたしの耳は音声を聞くのをさぼり、ぼんやりと、次のポーンという、フランス語が始まる合図音を待っているだけの状態になるのです。

 この時間は無駄じゃないか、としだいに不満が募ってきた、というわけなのです。

 そうはいっても、こればかりは、トライリンガルの構造上、どうしても避けられない問題です。

 それでも、BGMがあったので、まだ多少の救いにはなりました。

 とくに、1巻で流れるバッハの「G線上のアリア」は、わたしの大好きな曲でしたので、その点はラッキーでした。

 なお、BGMは、2巻はタイスの瞑想曲(マスネ)、3巻はラルゴ(ヘンデル)、4巻はクラヴィーア(バッハ)になっています。


スピードラーニングのフランス語版「トライリンガル」2巻「ホテルで」(エスプリライン)



(4) 「トライリンガル」を聞き続ける極意


 このように、「トライリンガルスピードラーニングのフランス語版「トライリンガル」(エスプリライン)」は、聞き続けて2週間もすると、進歩がとまるのを感じたり、無駄が多いと感じたり、いろいろな問題が見えてきます。

 4ヶ月で全4巻を聞き終えたいま、こうして振り返ってみても、聞き始めて2週間か3週間めあたりが、いちばん挫折の可能性が高かったように思います。

 では、なぜこの時期を乗り切れたのか、というと答えは、ひとつです。

   それは、いい加減にやってきたからです。

 聞き取れなくてもテキストは開かない。日本語が再生されているあいだはBGMでくつろぐ。そして、進歩がとまり、飽きてきたら、次に進む。

 NHKラジオフランス語講座を聞いたあと電車を降りるまで、なんとなく聞き流す。洗濯物を干しながら、なんとなく聞き流す。スーパーで買い物をしているあいだ、なんとなく聞き流す。 

 恥ずかしながら、この4ヶ月、こんないい加減な聞き方をしてきました。

 あれほど無駄だと不満に思っていた日本語の時間も、いつのまにか、逆に、意識を常に集中しなくて済むから、ちょうどいいや、とまで思えるようになりました。

 いい加減な分、抵抗が少ないのです。

 この点が、勉強色が強く聞くのに苦痛を伴うため、ついさぼりがちになってしまうラジオ講座とは、決定的にちがいました。

 とはいえ、最後まで聞いた、最後まで聞いた、とわたしはずいぶん騒いでいますが、それは、わたしがふだんから何ごとも長続きしない性格なので、自分としてはビッグニュースだ、というだけのことでしかありません。

 それに、最後まで聞いた、といっても、内実は、英語はともかく、フランス語は分からないところだらけです。

 それでも、当初の目的だった、フランス語を耳にする絶対量を増やす、という最低ラインは、一応クリアできたかな、と感じています。

 下手をすれば、フランス語をまったく耳にしないまま1ヶ月を過ごしてしまう、なんてこと、それまではざらでしたから。

 ところで、改めて考えてみると、実は、フランス語に手を染めてからというもの、すっかりお留守になっていた英語のリスニングも、知らず知らず、練習できていたのですよね。

 ついつい忘れがちですが、ありがたい副産物です。

 いまでは、どこかでG線上のアリアを耳にすると、頭の中で、あのポーンという音とおもに、「ラングレ・ドゥ・トゥーレ・ジュール」という声がよみがえってくるほど、「トライリンガル」のどこか間の抜けた独特のリズムが身体の中に染み込んでしまっています。


スピードラーニングのフランス語版「トライリンガル」4巻「働きすぎ」(エスプリライン)



(5) 「トライリンガル」の難易度


 最後に、「トライリンガルスピードラーニングのフランス語版「トライリンガル」(エスプリライン)」で扱われるフランス語および英語の難易度が分かるように、テキストから文章を一部抜粋しておきます。


 1巻 「朝食で」より抜粋


フランス語】 AU PETIT DÉJEUNER


Narrateur : Quelques mois plus tard,Mme Miler discute avec M.Miller avant son départ au travail.

Mme Miller : Chéri, aimerais-tu reprendre du café et du pain grillé?

M. Miller : Non, merci. Je dois me dépêcher ou je serai en retard au travail.

: Qu'as-tu prévu pour aujourd'hui?

Mme Miller : Je vais nettoyer la salle de bains et faire la lessive.

: Puis, aprés le déjeuner, je rendrai visite à Mme Ito à l'hôpital.

M. Miller : Ah oui, c'ést vrai.Elle s'est fait mal au dos en tombant dans les escaliers.

: Dis-lui que je lui souhaite un prompt rétablissement.


英語】 AT THE BREAKFAST TABLE


Narrator : A few months later,Mrs.Miller sees Mr.Miller off to work.

Mrs.Miller : Would you like some more toast and coffee, dear?

Mr.Miller : No,thanks. I need to hurry, or I'll be late for work.

: What do you have planned for today?

Mrs.Miller : I'm going to clean the bathroom and do the laundry.

: Then after lunch, I'm going to visit Mrs.Ito in the hospital.

Mr.Miller : Oh, that's right. She hurt her back falling down the staires.

: Tell her that I hope she gets better soon.


スピードラーニングのフランス語版「トライリンガル」1巻「朝食で」(エスプリライン)



■ 「トライリンガル」体験記(1)

■ 「トライリンガル」体験記(2)




彼女はときどきフランス語と遊ぶ new










フランス語検定体験記 フランス語の学習日記
  フランス語の独学スタート   フランス語の学習法
  仏検3級・4級体験記   フランス語の例文暗記
  仏検2級体験記   フランス語の単語暗記
  仏検準1級体験記   フランス語の多読日記
  仏検1級体験記   フランス語の聞き取り・書き取り
  フランス語のよもやま話   フランス語の参考書レビュー
  フランス語の学習記録   全記事一覧
  Elle joue avec les Français de temps en temps.   キンドル(Kindle)とフランス語
  プロフィール   フランス語の参考書フランス語の参考書・問題集



30からのフランス語
彼女はときどきフランス語と遊ぶ

Feel free to link this site.

ブログパーツ
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。