2007年01月21日

 フランス語ニュースを読むために
 フランス現代史の本を読む



 あるとき突然、フランス現代史ブームがわたしを襲い、そして、嵐のように去っていきました。


(1) きっかけはフランス24


 年末の話になりますが、わたしは、フランス現代史関連の本を3冊ほど読みました。

 きっかけは、2006年12月7日に放送が開始されたフランス24です。

 というのも、それ以前から、仏検準1級対策を念頭に、時おり、ヤフー・フランスの Actualités や RFI の Le journal en français facile に出かけて、興味ある記事をひとつふたつ読んみるということをしていました。

 そこへ、タイムリーに、フランス24がスタートしたため、それまでは、まだ種火に過ぎなかった、フランス語ニュースが読めるようになりたいという欲求の炎に、一気に大量の油が注がれる結果になったのです。

 そして、フランス語ニュースを読む機会が増えるにつれて、次第に、自分がいかにフランスの政治や歴史に無知であるかを思い知るようになりました。


ステキ!なフランス語


 たとえば、2007年のフランス大統領選挙の記事ひとつとってみても、はじめのうちは、疑問だらけでした。

 「日本の自民党と民主党にあたる、フランスの与党と野党はどこなんだろう?」

 「そもそもフランスには、他にどんな政党があるんだろう?」

 「フランスには、大統領と首相がいるけれど、どういうシステムなんだろう?」

 「よく登場するサルコジ内相とセゴレーヌ・ロワイヤル元環境相のほかに、どんな政治家がいるんだろう?」

 「ところで、シラク大統領の前は、たしかミッテラン。じゃあ、その前は誰だっけ?」

 「・・・まさかナポレオン??」

 恥ずかしながら、こんな感じでした。


フランス語でサバイバル! 改訂版



 これがアメリカなら、いくら国際情勢に疎いわたしでも、現ブッシュ政権が共和党で、前クリントン政権が民主党であることくらい、知らず知らずのうちに刷り込まれています。

 大統領だって、とくに覚えようとしなくても、ブッシュ→クリントン→お父さんブッシュ→レーガン→カーターくらいまでなら、同時代の記憶だけで、なんとかたどることができます。

 アメリカなら、大統領に止まらず、国務長官だって、コンドリーザ・ライス、コリン・パウエル長官はもちろん、オルブライトやベイカー、シュルツ長官くらいまでなら、おそらく顔と名前を一致させることができるでしょう。
 
 といって、わたしがアメリカに特別な関心を寄せていたわけではありません。たんによく報道されるから知っているだけのことです。

 ですから、フランスのことを知らないのも、アメリカほどにはニュースで取り上げられないからだ、と自分で自分に言い訳をしています。

 いずれにせよ、わたしは、シラク、ミッテラン、ドゴールの他は、どうがんばっても、せいぜいルペン、サルコジ、ロワイヤルの名前くらいしか出てこないのです。

 こうして、ここ最近、フランス語のニュース記事を読む機会が増えてからというもの、自分があまりにフランスのことを知らなさ過ぎるという事実に愕然としたというわけなのです。


初学者も専門家も名詞に弱くてはフランス語はわからない―ニュースや古典で徹底解説


(2) 「沸騰するフランス」を読む


 そういうわけで、フランス語ニュースを読むには、まずフランスの政治や歴史の勉強が必要だと考え、適当な本を探し始めました。

 そこで出会ったのが、「沸騰するフランス」、「フランス現代史」、「シラクのフランス」の3冊です。

 初めから3冊も読もうと思ったわけではなく、たまたま手にした「沸騰するフランス」を読んだら、これがまさに、フランスの現代を知りたいと思っていたわたしにビンゴの内容で、それに触発され、他の2冊にも手を広げたというわけなのです。

 「沸騰するフランス」は、いまのフランスを知るのに、格好の入門書で、たとえば、欧州憲法否決やら、フランス暴動、初期雇用契約、大統領選挙など、いままさにニュースになっている話題がことごとく取り上げられています。


ケータイ版 ラピッド・フランス旅行会話―レストランの料理写真付き

 
 わたしは、本書を読む以前から、日本で報道されるフランスのニュースは、3年前に実際にフランスを旅行して以来、自然と注意が向くようになったせいで、それ以外の国のニュースと比べれば、ずいぶん熱心に読んできたつもりです。

 ですから、本書で扱われるテーマも、そのほとんどは、新聞で1度は読んだことのある内容でした。

 しかし、フランス関連のニュースは、そう頻繁に報道されるわけではないので、それらの情報は、分断された状態で頭の中でバラバラになっていました。

 ところが、本書のおかげで、いまでは、わたしの頭の中で、2002年のルペン・ショックから、2007年のフランス大統領選挙までのフランス国内事情が、すっきりと整理できています。

 なにより、本書を手にしたときは、表紙に出ている6人の写真を見ても、ロワイヤルさんしか分からなかったのに、今では、6人とも誰だか識別できるようになりました。


基本をおさえる魔法の仏文法―不思議とマスター、フランス語への近道


(2) 「フランス現代史」「シラクのフランス」を読む


 「沸騰するフランス」を1冊読んだだけでも、フランスが現在抱える問題、言い換えれば、フランス24などで報道されるニュースの背景は、ほぼ理解できるようになります。

 しかし、不思議なもので、ちょっとでもフランスの内実に詳しくなってみると、新たな疑問がわいてきて、もっと知りたくなるのです。

 欧州憲法否決やら、フランス暴動、初期雇用契約や大統領選挙などの個々の事例だけでなく、その背景にある大きな骨格を理解したいと思うようになったのです。

 そこで、戦後から今日までのフランス政治をごく簡単にまとめているコンパクトな本はないかと、探すことにしました。

 大学受験コーナーなどにも足を運んだのですが、適当な参考書が見つからず、結局、「沸騰するフランス」の巻末で参考文献として挙げられていた「フランス現代史」を読むことにしました。


フランス語解釈法


 「フランス現代史」は、1944年のパリ解放からシラク時代までを概観してくれる、まさにわたしが求めていた格好の入門書でした。

 ちょっと情報量が多すぎて、この半分くらいの大まかな流れで十分なんだけれどな、と思いながらも、夢中になって読みました。

 そして、「フランス現代史」では、シラク時代の記述が足りなかったので、続けて「シラクのフランス」を読んで補充しました。

 「シラクのフランス」に入るころには、すでにフランス現代史の基礎知識が入っていましたから、あっという間に読めてしまいました。

 こうして、3冊続けて読んだことで、戦後から現代までのフランス政治の流れが、自分なりにすっきりと整理され、フランス24などで目にするフランス語ニュースが、ぐんと身近なものに感じられるようになりました。


フランス語のぼうけん AからZ500のことば


(3) フランス現代史ブームの終焉


 実は、このへんまでくると、フランス関連の本ばかり読むのに少々飽きがきていました。

 ですから、さあ、フランス現代史の次はEUだ、と勢い込んで手にした「大欧州の時代」、「ユーロ―その衝撃とゆくえ」を読むのに、しだいに苦痛を覚えるようになってきました。

 わたしの場合、こうなると、もうおしまいです。フランス現代史ブームは、もはや去ってしまったのです。

 正味、2週間ほどの狂乱でした。

 でも、大丈夫、わたしは知っているのです。フランスに対する興味の波が、またそのうち戻ってくることを。


「ベルサイユのばら」で学ぶフランス語


 大事なのは、興味の波をキャッチしたら、その波に乗って、とにかく読めるだけ読んでしまうことなのです。

 去年だけでも、量子力学、超ひも理論、Web2.0、現代思想、近代西洋絵画史、比較宗教など、いろいろ興味の波がありました。

 そして、わたしのなかでは、新書レベルの本を3冊読めればそれで合格としているので、今回は、合格です。

 もっと小さい波だと、新書1冊で終わるのが常ですから。

 それにしても、ここ最近でいちばんのビッグウェーブは、やはり3年前のフランス語熱でしょうか。

 あのときは、6週間かけて「新リュミエール」をおえ、その後、みっちり3ヶ月間、仏検問題集に没頭しましたから。

 ああ、またフランス語に、あんな大きな波がやってこないかなあ・・・。

 いまはただ、凪いだ海で、ボードにまたがり、はるか沖合いを見つめながら、フランスから押し寄せてくる波をひたすら待ち続けるサーファーのような心境です。


パリの恋人たちのアパルトマン


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