フランス語を始めるきっかけとなった、パリ旅行に出かける前の話です。
「Talk Now! はじめてのフランス語」は、わたしが購入した、記念すべき最初のフランス語教材です。
10月末に旅行会社への申し込みを終え、2004年1月末のパリ旅行まで、まだ3ヶ月ほどありましたから、その間ただ待っているだけではもったいない、ほんの片言でもいいから、フランス語を覚えていけば、きっと初めて行くパリも、ぐんと楽しくなるにちがいない。そう思い立ち、ごく軽い気持ちで注文したのでした。
33歳のことです。

当時のわたしにしてみれば、「Talk Now! はじめてのフランス語」でフランス語を学ぶというのは、ちょうどパスポートやスーツケースを揃えたり、ガイドブックを研究したりするのと、少しも変わらぬ、たんなる旅行準備のひとつに過ぎませんでした。
しかし、それがきっかけとなって始めたフランス語が、今でもこうして続いているのですから、人生というのは、分からないものです。
今にして思えば、最初に手にしたフランス語教材が、「Talk Now! はじめてのフランス語」であったのは、本当にラッキーでした。
というのは、この学習ソフト、とにかく無条件で、おもしろかったからです。

わたしは、「Talk Now! はじめてのフランス語」に出てくるゲームで満点を取りたい一心で、夢中になって、出てくるフランス語を、ひとつひとつ、むさぼるように覚えました。
2週間もしないうちに、それまで1つも知らなかったフランス語、たとえば、1から20の数字、国の名前、色の名前、時間表現、食べ物の名前、身体の名前などなど、これらのフランス語が、いつのまにか自分の口からポンポン飛び出してくるのですから、興奮するのも無理はありません。
もし、もっとお堅いフランス語会話集のようなものから始めていたら、その後、これほどまでにフランス語にのめり込んでいたかは、はなはだあやしいものです。
最初に出会ったのが、ゲームというか、お遊びというか、エンターテイメント的要素が非常に強い「Talk Now! はじめてのフランス語」であったことは、本当に幸運でした。

いずれにせよ、当時のわたしは、3ヵ月後にせまったパリ旅行を前に、ガイドブックを広げ、ここにも行こう、あそこにも行こうと夢を膨らませる一方で、毎晩のようにパソコンに向かっては、「Talk Now! はじめてのフランス語」に出てくる、現地で使えそうなフランス語を嬉々として覚えていたのです。
ところが、このようにして、フランス語の基本単語と日々接しているうちに、すぐに、自分がちょっとした壁にぶちあたっているのを感じました。
それは、フランス語の「発音」の壁でした。

彼女はときどきフランス語と遊ぶ new