ピーター・フランクルは、「ピーター流外国語習得術」の中で、語学習得のコツの10番目に、「達成しやすい目標を立てること」を挙げています。
一見すると、この「達成しやすい目標を立てること」という原則は、当たり前過ぎるし、いかにも精神論めいていて、たいした効能もなさそうに思えます。
しかし、わたしは、この原則を取り入れるようになってから、フランス語の独学が、非常に楽になったという実感があります。
というのも、わたしは、注意しないと、すぐに高すぎる目標を設定してしまい、自分で自分の首を絞めてしまっていたからです。
ですから、「ピーター流外国語習得術」の中に、「達成しやすい目標を立てること」という記述を見つけたとき、やっぱり、そうだよなあ、と心から反省したのでした。
それ以来、わたしは、この原則を、「困難は分割せよ」と自分流の言葉にアレンジして、日々のフランス語学習に応用しています。
以下では、実際に、わたしがどうのように「困難は分割せよ」の原則を適用しているか、代表例を5つほど、ご紹介いたします。

(1)学習時間の細分化
わたしは、まとまった学習時間がなかなか確保できないという困難を打破するために、1回の学習時間を15分単位に細分化することにしました。
具体的には、朝のパソコン起動前に15分、行きの電車の中で15分、帰りの電車の中で15分、半身浴をしながら15分、寝る前に15分を、フランス語の学習にあてています。
こうして、学習時間を細分化したことにより、ちりつも効果で、1日少なくとも1時間程度は、フランス語の時間を確保できるようになりました。

(2)目標の細分化
わたしは、「フランス語名詞化辞典
1.カード化する
2.例文を電子辞書で調べあげ、必要な内容を余白に書き込む
3.見出し語を口頭で言えるようにする
4.例文を口頭で言えるようにする
5.見出し語を書けるようにする
6.例文を書けるようにする
ところで、わたしは、6番の最終目標の達成までに、1年は必要だろうと考えています。
とすると、わたしが目標達成の喜びを味わえるのは、1年先になります。
しかし、目標を6つに細分化することにより、わたしは、1年の間に6回の目標達成の喜びを味わうことができます。
これは、単純計算すれば、わたしが、2ヶ月に1度、目標達成の喜びを味わえることを意味します。
実際に、わたしは、これまでに、カード化を終わらせた喜び、例文を調べ上げた喜び、見出し語を口頭で言えるようになった喜びと、すでに3つの達成感を味わっています。
現在は、「例文を口頭で言えるようにする」という次の目標に向かって、努力しているところです。

(3)作業の細分化
わたしは、「フランス語名詞化辞典
5語覚えたらすぐに最初にもどりチェックをし、それから次の5語に進むという形を取るだけで、いちどに50語すべてに目を通していたころより、格段に楽になりました。
また、5の倍数ずつ進めることで、作業の切りがよくなるため、15分の学習で暗記が途中で終わっても、その時点までの達成感を味わうことができます。
また、見出し語だけでなく、例文を覚える際も、いきなり頭から覚えるのではなく、作業を細分化しています。
具体的には、まず、主語述語などの構文上の骨格を言えるようにする、次に、例文中のその他の単語、熟語表現などを言えるようにする、最後に、例文全体を言えるようにする、という流れです。
ところで、見出し語を覚えるのと違って、例文全体を覚えるのは、本当にハードな作業です。
現在のところ、なんとか1日25例文のペースを死守していますが、このペースで40日以上の長丁場を乗り切れるか、予断を許さない状況です。
なお、「フランス語名詞化辞典

(4)仏検の目標の細分化
わたしは、2007年11月18日に、仏検準1級を受験します。
そして、その際の目標を、次の4つに細分化しています。
1.どんなに学習が進んでいなくても、逃げずに受験すること。
2.前回の下見受験の42点(得点率35%)を超えること。
3.名詞化の問題で、満点(10点)を取ること。
4.「内容一致」など読解の客観問題で、満点(15点)を取ること。
もし、わたしが仏検準1級の目標を、「合格すること」だけにおいていたら、わたしが達成感を味わえる可能性は、非常に低いものとなるでしょう。
しかし、目標を4つに細分化することで、たとえ結果が不合格に終わっても(もともと合格は期待していませんが)、わたしは、自分の立てた目標の達成度を、客観的に測定することができます。
とくにわたしが大事だと思っているのが、いまの自分の学習とつなげた目標を立てることです。
なぜなら、もし、わたしが何の対策もしてない「書き取り」の点数を上げたいなどという目標を立てても、意味がないからです。
目標と希望は、明確に区別する必要があります。
ですから、わたしは、そうならないよう、いま自分が学習している先にある目標として、名詞化の問題と、読解の客観問題で満点を取る、という具体的な目標を立てたのです。
しかも、3と4の達成は難しいので、ちゃんと達成しやすい1と2という目標も掲げています。
ここでも、やはり、わたしは、ピーター・フランクルが言う「達成しやすい目標を立てること」の原則を、忠実に守っているのです。

さて、最初に述べたように、一見すると何でもないように思える、ピーター流「達成しやすい目標を立てること」という原則。
わたし流の言葉でいうと「困難は分割せよ」ですが、実際に日々の学習に応用することで、わたしは、その効果を強く実感しています。
最近では、ちょっとでも自分の計画に行き詰まりを感じたら、わたしは、すぐに「困難は分割せよ」の大号令のもと、計画の練り直しをするようにしています。
しかし、わたしは、これらの見直しを、決して、目標を下げたり、計画を下方修正したりする、という消極的な意味ではとらえていません。
むしろ、目標や作業の手順や学習時間を、無理なく達成できる範囲に細分化して、達成しやすい適正な状態にする、という積極的な意味でとらえています。
こうすることで、フランス語の独学は、ぐっと楽になりました。
「達成しやすい目標を立てること」
なんでもない言葉のようですが、やはり、実際に11ヶ国語以上の外国語を習得したピーター・フランクルならではの、重みのある言葉だと、しみじみ思います。

【関連記事】
■「ピーター流外国語習得術」のレビューへ
■ピーター流「語学習得の10のコツ」
■フランス語の独学を続けるための、小さな仕掛け