2007年12月06日

 フランス語の多読教材
 もっとも読みやすいのは?



 わたしがいままで読んできたフランス語の多読教材のうち、現段階で、もっとも読みやすいと思うのは、Hachette 社の LECTURE FACILE シリーズの「Contes」です。



(1)児童書は1冊目には向かない



 わたしは、フランス語を始めてそろそろ4年になりますが、これまでに、20冊以上のフランス語の本を読んできました。

 といっても、その多くは、絵本や児童書、それからグレイディッド・リーダーなどの、やさしいフランス語の本です。

 ところで、わたしが、自分でこれらのやさしいフランス語の本がある程度読めるようになってきたと感じ始めたのは、1度目の仏検2級の受験後です。

 具体的には、こちらの学習年表からも分かるように、フランス語の勉強を始めて、1年と10ヶ月が過ぎたころの話です。

 ただし、わたしが読めるようになった、と言っているのは、辞書を引くことなく、自分の力だけで、大意を外すことなく、最後までどうにか読み切れるようになった、というくらいの意味です。

 ですから、辞書を引きながらでもいいというのであれば、もう少し早い時期から挑戦できていたかも知れません。



 ハリーポッターのフランス語版
 ハリーポッターのフランス語版



 そして、その経験から言えるのは、フランスの子供のために書かれた絵本や児童書は、実は、フランス語学習の初期段階においては、それほど読みやすいものではないということです。

 わたしは、フランス語を始めるきっかけとなったパリ旅行に出かけた際に、現地でフランス語の児童書をたくさん購入してきました。

 しかし、その後、フランス語の独学を始め、仏検3級に合格したあと、それらの本を読もうと何度もチャレンジしましたが、当時の実力では、たとえそれが、7歳8歳向けの児童書であっても、まるで歯が立ちませんでした。

 その中には、有名なサンテグジュペリの「星の王子さま」も入っていましたが、これなどは、「星の王子さま」をフランス語で読むによると、フランスでは小学校の高学年になれば問題なく読めるようなレベルだそうです。

 しかし、わたしは、フランス語ニュースがある程度読めるようになったり、「L'Etranger」がそこそこ読めるようになったりした現在でもまだ、「星の王子さま」は読みにくいという印象がぬぐえません。 

 児童書は、思いのほか、難しいのです。



 ハリーポッターのフランス語版
 ハリーポッターのフランス語版





(2)なぜ児童書は難しいのか



 では、なぜ児童書は難しく感じるのかというと、理由は2つあるように思います。

 ひとつは、語彙の特殊さ・豊富さです。

 たとえば、日本語でも、車をブーブーと言ったり、犬をワンワンと言ったりします。

 フランスの児童書には、それに類する特殊なフランス語がよく出てくるのです。

 また、生活単語とでもいうのか、身の回りの物や、動植物の名前など、とにかく、仏検単語集などでは決してお目にかからないような日常的なフランス単語が、わんさかお目見えします。

 ですから、いくら子供向けといっても、児童書の持つその語彙の特殊さと豊富さは、初期のフランス語学習者にとっては、なかなかのハードルなのです。



 ロアルド・ダールのフランス語版
 ロアルド・ダールのフランス語版



 2つめの理由は、児童書の文法的な野放図さです。

 たとえ子供向けの本であっても、児童書には、仏検では出題されない単純過去はもちろん、複合過去だろうが、単純未来だろうが、はたまた、条件法だろうが接続法だろうが、とにかく、すべての時制と法が、1ページ目から容赦なく降り注ぎます。

 また、構文も、関係代名詞、強調構文、分詞構文、倒置、仮定法などなど、なんでもありです。

 これら文法的な野放図さも、先ほどの語彙の問題同様、初期のフランス語学習者には、なかなか手ごわい相手なのです。

 これからフランス語の多読をしようとするときに、辞書を引き引き、単語と構文に格闘しなければいけないとしたら、あまり楽しい読書は期待できません。

 多読は、精読とはことなり、フランス語の勉強ではなく、むしろ、ふだんの勉強の成果を味わう、晴れの舞台だとわたしは思っているので、ある程度すんなりと読めてくれないと、困るのです。



 ロアルド・ダールのフランス語版
 ロアルド・ダールのフランス語版




(3)グレイディッド・リーダーが読みやすい理由



 ところが、このような、児童書がもつ、語彙の豊富さ・特殊さ、および、文法的な野放図さといった欠点をクリアしてくれる読みものがあります。

 それが、グレイディッド・リーダーです。

 グレイディッド・リーダーとは、外国語学習者向けに、語彙と文法を制限して、レベル別に分類した読みものです。

 たとえば、語彙に関しては、特殊な単語には、巻末に絵による説明があったり、脚注にフランス語による説明があったり、と配慮がなされています。

 また、文法面でも、1文1文が短く、時制や法は基本的な用法に限られ、構文もいたってシンプルです。

 ところで、英語には、ペンギンリーダズなど多くの有名グレイディッド・リーダーが本屋に並んでいますが、フランス語の場合は、それほど選択肢があるわけでありません。

 いきおい、フランス語学習者の多くは、Hachette 社の LECTURE FACILE シリーズか、CLE INTERNATIONAL 社の LECTURES CLE EN FRANÇAIS FACILE シリーズのどちらかから、初めての1冊を選ぶことになるのではないでしょうか。

 わたしは、オアゾの丸善や、池袋のジュンク堂で、どちらのシリーズとも、特に Niveau 1 は、その現物のほとんどすべてを、手にとり、この目で確かめています。

 そのうえで、もし「このシリーズの中で、初心者が最初に読むのにいちばん読みやすいと思われる本は何か?」と聞かれたら、わたしは、断然、Contes を推します。


 
 やさしいフランス語のグレイディッド・リーダー
 Contes



 理由は、次の2つです。

 1つは、Contes が短編集である点です。

 Niveau 1 の多くの作品は、Carmen にせよ、 Les Misérables にせよ、Cinq Semaines En Ballon にせよ、基本的には、どれも長編です。

 もちろん、長編には長編のおもしろさがありますし、読みきったあとの達成感は短編よりも大きいものがあります。

 しかし、初めてグレイディッド・リーダーに挑戦する初期の段階では、長編よりも短編の方が、とっつきやすいはずです。

 最初の1冊目で挫折すると、その後、なかなか手を出そうという気分になれませんから、最初は、易しいものから始めた方が賢明です。

 その点、Contes は8話からなる短編集で、短いものは2ページで完結するくらいですから、非常に読みやすいと思います。



 やさしいフランス語のリーダー
 やさしいフランス語のリーダー

 

 2つめの理由は、Contes に含まれる短編は、どれも日本人にもなじみのある話ばかりだという点です。

 たとえば、赤ずきんちゃん、シンデレラ、青ひげ、長靴をはいた猫など、どれも子供のころ、どこかで1度は読んだことのある話ばかりです。

 もちろん、内容を知っている話を読むのはつまらないですし、知らない本を読んでこそ、達成感も味わえる、という面はあるかも知れません。

 しかし、初めてグレイディッド・リーダーに挑戦する初心者には、内容を知っている本の方が、圧倒的に読みやすいことは、わたし自身の経験からも、明らかです。

 それに、たとえすでに知っている話でも、フランス語で最後まで読めた喜びは、すべてに勝ります。



 初めて読んだフランス語のグレイディッド・リーダー
 初めて読んだ Niveau 1



(3)Niveau 1 の語彙レベル



 このように、2つの理由から、わたしは、シリーズの中で、初心者が最初に読むのにもっとも適している本は何か、という問いには、LECTURE FACILE の Contes の名前を挙げるのです。

 ちなみに、わたし自身が初めて読破に成功したグレイディッドリーダーは、同じく Niveau 1 の Cinq Semaines En Ballon でした。

 こちらでも書きましたが、それまでまるで歯が立たなかったのに、仏検2級受験後、試験終了の解放感のまま、何の気なしにページを開いてみたら、嘘のように読めるようになっていた時のことを、わたしは今でもありありと覚えています。

 それにしても、 Niveau 1 ですら、こうして読めるようになるまでに、1年10ヶ月もかかったのです。

 フランス語の学習の初期においては、たとえ Niveau 1 であっても、辞書なしで読むのは、なかなか大変なことだと思います。

 ちなみに、Niveau 1 の語彙レベルは、500語から900語です。

 仏検の語彙レベルは、5級が500語、仏検4級が800語、仏検3級が1、500語ですから、Niveau 1 の語彙レベルは、ちょうど仏検4〜5級あたりに相当します。



 やさしいフランス語のリーダー
 やさしいフランス語のリーダー



 ところで、もうひとつ、わたしの経験上、言えるのは、同じ Niveau 1 であっても、読みやすいものと、読みにくいものがある、という点です。

 こちらでも書いたように、わたしの場合、同じ Niveau 1 でも、「La Guerre Des Boutons」と「Voyage Au Centre De La Terre」では、読みやすさがぜんぜん違いました。

 それは、おそらく、読み手の好みの問題なのでしょうが、いずれにせよ、そのような点を考慮に入れたとしても、やはり、Contes はかなり読みやすい部類に入ると、わたしは思います。

 もし、わたしが最初に手にしたのが Cinq Semaines En Ballon ではなく、Contes だったとしたら、きっと、もっと早く読めていただろうなと、今にして、思います。

 当時はまだ、Contes の存在を知らなかったのです。

 最後に、参考までに、Contes の1話目に収録されている「赤ずきんちゃん」の冒頭を以下に引用します。


 Il était une fois, dans un village, une petite fille qui était très jolie.

Sa mére et sa grand-mère l'amaient beaucoup.

Un jour, sa grand-mère lui donne un petit chaperon (comme on disait autrefois, c'est-à-dire un petit chapeau).

Ce chapeau, de couleur rouge, va très bien à la petite fille.

Tout le monde l'appelle le Petit Chaperon Rouge.



 やさしいフランス語のグレイディッド・リーダー
 Contes


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