英語版の「星の王子さま
「The Little Prince
ときおり、tippler や ermine など、それまで目にしたことのない単語にぶつかることもありましたが、全体の語彙レベルは、せいぜいセンター試験くらいで、1つ1つの文章は短く、構文も非常にシンプルでした。
なにより、各章がほんの数ページずつしかないというのが、読みやすさに拍車をかけています。ぜんぶで27章ほどあるのですが、このように細分化されていると、いつでもキリのいいところでやめられるので、寝る前のほんの5分、10分でも、読もうという気にさせられました。
かつて読んだロアルド・ダールの「Charlie and the Chocolate Factory
「What is essential is invisible to the eye」という有名な一節が出てきたときは、ちょっぴりうれしかったです。
読み始めのうちこそ、子供は純粋で大人は不純という、あまりにステレオタイプな図式に、あやうく途中で本を閉じかけそうになりましたが、後半になるにつれ、とくに蛇やきつねが登場するあたりから、急速におもしろくなり始め、あとは、結末までぐいぐいと引き込まれてゆきました。
浴槽のなかで読み終わり、最初にわたしが発した一言は、なるほどねえ、でした。
なぜ「星の王子さま
おそらくこれだけ人気があるのは、読んでいる最中に、蛇やバラは何を象徴するのだろう、きつねの語るメッセージとは何だろう、と読み解くおもしろさがあるからなのではないでしょうか。
これは「Charlie and the Chocolate Factory
もういちど読み直したい、とまでは思えませんでしたが、深みのある本ではあることは、たしかです。
さて、肝心な話は、ここからです。
当初の目論みどおり、英語版の「The Little Prince
効果は抜群です。
もちろん、依然として、知らないフランス語の単語は山ほどあります。しかし、どのページのどの箇所を開いても、その文が何を言っているのかが分かります。
といっても、フランス語力で分かるというより、読み終えたばかりだから分かるといった方が実情に近いでしょう。
つまり、いまだ新鮮な記憶と、もとからの英語とフランス語の構文上の近似性が、未知の単語の類推を助けてくれている、ということになると思います。
読み終えてすぐに試したのだから、当然といえば、当然の結果といえます。しかし、英訳を読む直前まで抱いていた、原書に対する、ある種の近寄りがたさは、吹き飛んだ感があります。
あらかじめ英訳を読んでおくのとおかないとでは、原書の読みやすさに、天と地ほどの差がでると、肌で感じることができました。
ところで、こうして、 Dual-Language Book 方式のある程度の効果は確認できましたが、他方で、限界にも気づかされる結果となりました。
それは、いちど読んだ「星の王子さま
つまり、Dual-Language Book 方式には、再読に耐えうるだけの、よほど気に入った本を選ばないと、勉強色が強くなり過ぎて続かないという、心理的な負の側面が存在するのです。
かつて、英語力をつけようと、ロアルド・ダールやらシドニーシェルダンやら、日本語でならまず読むことのないであろうタイプの本を、ただ読みやすいという理由だけで、多読の素材にしていたころ、始めのうちこそ、英語で読める喜びが牽引してくれるのですが、あっという間に知的好奇心が枯れて、読む気が薄れてしまう、という経験をしましたが、今回も根っこは同じようです。
結局、Dual-Language Book 方式は、勉強としての効果は期待できるけれど、読書本来の喜びは期待できないということになりそうです。
ただ、もしかしたら、フランス語の原書を先に読んで、あとから英訳で確認するという使い方をするか、あるいは、分からないところだけ英訳を参照するという使い方をすれば、この点は解消できるのかも知れません。
わたしが今回やったような、別々の本を使った、お手製 Dual-Language Book だと、そのような使い方は、とても面倒くさくて、する気になれませんが、「French Stories/Contes Francais
いずれにせよ、今回の実験で、いまのところ一番の目標である「L'Etranger
L'essentiel est invisible pour les yeux.
(参考記事)
「星の王子さま」を英語とフランス語で読む?
外国語を学ぶ喜び
ちなみにL'Etrangerはフランスで文学の授業の課題図書でした。こちらも授業では一部しかやらなかったので、ぜひ読破したいものです。